はり灸治療の良さは、体表の反応をみるところ。

投稿者: | 2015年1月26日

東洋医学には、「病乃応見大表(病の応は大表に見(あらわ)る)」ということばがあります。
体内の異常はからだの外側(体表)の反応としてあらわれるという意味。
はり灸治療をする上で基本となる、とっても大事な考え方なんです。

出典は、中国の歴史書『史書』の扁鵲倉公列伝。
今からおよそ2500年前くらいの時代の医学について書かれたものとされています。
そんな時代ですから、当然、現代のようなレントゲンもMRIも血液検査もありませんよね。
当時の医師は、からだの中の異常を知るために
からだの外側(体表)に現れている異常な反応を探すわけです。

そこから発達したのが東洋医学の診察方法「四診」。

・望診(ぼうしん):全身から受けとる印象、顔、舌を見る。
・聞診(ぶんしん):声の調子を聞く。臭いをかぐ。
・問診(もんしん):患者さんの症状、病歴、生活状況などをうかがう。
・切診(せっしん):脈、お腹、全身のツボにふれて、その状態を知る。

はり灸治療をする前に必ずこの四診をして
からだの表面のどこに反応があらわれているか、丁寧に情報を集めて治療方針を決める手がかりとします。
 

ときどき、はり灸治療の特色ってなんだろうと考えることがあります。
はりを使うこと?お灸を使うこと?
もちろん道具も特色の一つですが
わたしは「体表の反応を丁寧に診ること」だと思います。

からだを丁寧に診て、患者さんの状態を知るのは西洋医学も同じだと思いますが
脈・舌・お腹・ツボなど、体表の反応を調べる診察方法は東洋医学独自のもの。
からだの中の状態が(東洋医学的に考えて)どんなふうになっているのか、
不調の原因はどこにあるのか、
それを知って治療につなげるために、体表の異常な反応を探すんです。

「体内の異常はからだの外側(体表)の反応としてあらわれる」という考えに至ったのは
きっと古代中国の何百人もの医師が患者さんの体表を観察して、それが何百年も積み重なった結果。
古代の中国で始まったはり灸治療が現在までつながっているのは
体表の反応を大事にすることが、からだを知る上で非常に意味のあることだからだと思うんですよね。
 

わたしは現代の日本に生きる鍼灸師ですから、
患者さんの状況をより正確に知るために
レントゲンの所見や血液検査でわかったホルモンの数値などを尋ねることもあります。
でもやっぱり基本は体表観察。
診察も、治療も、治療後の反応をみるためにも、体表にはたくさんの情報がつまってる。
先人たちが残した大切な体表観察を活用しない手はないです。