妊婦さんと旅行。

投稿者: | 2014年8月9日

読売新聞の医療サイトyomiDr.ヨミドクターに
気になる記事が出ていました。
インターネット上でも話題になっていたようです。

妊婦の旅行「安定期」でも注意
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=102341&from=tw

沖縄の病院 10年まとめ…救急受診300人中、4割

 沖縄本島を旅行中に体調が急変し、現地で救急受診した妊婦が過去10年間に少なくとも約300人おり、11人はそのまま出産していたことが、沖縄県立中部病院(同県うるま市)のまとめでわかった。

 早産の赤ちゃんが半年近く入院したケースもあった。近年、妊娠中の旅行を「マタ旅」(マタニティー=「妊婦の」の英語)と名付けて旅行を勧めるプランが増えているが、一定のリスクがあることが浮き彫りになった。

 同病院は、沖縄県内に2か所ある総合周産期母子医療センターの一つ。調査によると、2004~13年の10年間、観光や妊婦自身の結婚式などで県外から旅行中の妊婦288人を救急患者として受け入れた。このうち約4割は、いわゆる妊娠「安定期」だった。

 受診の結果、74人が入院し、そのまま同病院で11人が出産。3人は妊娠5~6か月の妊婦で死産、残り8人中7人が早産だった。病院に向かうタクシー車内での出産もあった。早産の赤ちゃん全員がNICU(新生児集中治療室)で治療を受け、入院期間は23~151日間だった。

 同病院産科の中沢毅医師は「旅先の出産は経済的・精神的な負担が大きいことや、妊娠中のどの時期でも予期せぬ急変が起こりうることを知ってほしい」と話している。

(2014年7月24日 読売新聞)

 

過去10年間の調査によると
妊娠中に沖縄旅行をしていて、現地の病院へ運ばれた288人のうち
その4割が妊娠「安定期」だったということ。
 

この記事について、産婦人科医の宋美玄先生もブログ記事を書いています。

宋美玄のママライフ実況中継
「救急受診の4割が「安定期」…妊婦の旅行に警鐘」(2014年7月30日)
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=102639

 
同ブログの過去の記事でも、
妊娠中の旅行についてふれています。

「「マタ旅」ブーム…リスク覚悟してほどほどに」(2014年5月7日)
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=97750
 

宋先生の記事を引用します。

「安定期」という言葉は医学用語ではなく、どのような時期でも1分後には何が起こるか分からないのが妊娠であるということを書きました。だからといって、妊娠中はかかりつけ医のいる地域から出るべきではないとは私は思いませんが、「安定期だから何も起こらないはず」「もしも何か起こりそうな場合は妊婦健診で予見してもらえるはず」というのは大きな誤解です。

 
これらの書いた記事を読んで、いま不安になった方もいるでしょうか。
ごめんなさい。
このブログを見てくださる妊婦さんを不安がらせたいわけじゃないんです。
でも、赤ちゃんとお母さんが安心・安全な状況で出産にのぞめるよう
できるだけ、医学的に正しい知識と情報を提供したいと思っています。
 

実は
わたし自身に後悔の気持ちがあって、この記事を書いています。
というのは
わたしが妊娠して、出産するまで
無事に赤ちゃんが産まれることに何の疑問も持っていませんでした。

いろいろと、小さなトラブルはありながらも
子どもは無事に産まれてきました。
わたし自身も出産を経験して、
以前よりももっと産科領域に興味がわくように。

妊婦さんに対して、より安全な鍼灸治療がしたい。
医学的に、より適切なアドバイスをしたい。
出産後にその思いが強くなり
定期的に産婦人科の先生の勉強会に参加し、学んでいます。

前よりも産科のことを知るようになって
今、強く思います。
赤ちゃんがおなかの中で40週近くまで育ち、
赤ちゃんも、お母さんも問題なく無事に産まれてくる。
それって奇跡みたいなことだと。
当たり前のような感覚でいたけれど
当たり前だなんてとんでもない、と思っています。

自分の妊娠中のことを振り返って
もう少し慎重になった方がよかったなと・・・。
結果として、何も起こらなかったからよかったものの・・・。
わたし、ずいぶんのんびりしていました。
自戒の念も含めて
患者さんやこのブログを見てくださる方に
できるだけ正しい情報を伝えたいんです。

 
物理学者で随筆家でもある寺田寅彦の著書に
「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、
正当にこわがることはなかなかむつかしい」
ということばがあります。
「正当にこわがる」。
なかなかむずかしいものですよね。
これは災害についてのことばだそうですが
妊婦さんにもぜひ。

過度に不安になるのはよくないですが
必要な知識と情報を得て、慎重になるのはいいことだと思います。

 
いま妊娠している方。
これから妊娠したい方。
妊婦さんのパートナーやご家族の方。

みんなができるだけ正しい情報を共有して
みんなで赤ちゃんを守っていきたいですね。
 

【参考】
・読売新聞の医療サイトyomiDr.ヨミドクター
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/
・宋美玄のママライフ実況中継
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=50897
・寺田寅彦小爆発二件
http://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/2507_13840.html